2009年1月6日火曜日
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フランス駐在奮闘記

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パリのエッフェル塔近くにシャイヨー宮と呼ばれる建物がある。
1981年の当時は、この入口付近に数か所の公衆電話ボックスがあった。
車で通勤途上のある日のこと、一つの公衆電話に20名位の人々が列を作って待っているのである。
不思議に思い車を停めて、列の中の一人(Aさん)に聞いてみた。
私:「なぜ、この電話に群がって待っているのですか? 空いた電話は向こうにもあるのに」
Aさん:「おいら達はチュニジアから来たんだ。この電話は、今うまく壊れていて、タダで国にいる家族と話せるんだぜ。あんたはベトナムから働きに来ているの? あんたも並んで電話をしたらどうだ」
その後、パリ市内の公衆電話を良く観察してみると、多くの電話は壊されていて、使えない事がわかった。
それにしても、駐在当時は日本との国際電話料金は高くて、秒針を見ながら話したものだ。
現在の日本には、遠くの国から出稼ぎに来ている外国人が多くなっているが、祖国に住む家族たちとの連絡はどのようにしているのだろう?
インターネットかなぁ、と思うこの頃である。

パリ市内には、タクシー乗り場はあちらこちらにある。
流しのタクシーも手を挙げればすぐに止まってくれる。
さて、4名で初めてタクシーを止めたときの話である。日本であれば、後部に3名、そして助手席に1名の乗車は可能であるので、そんな感覚で乗ろうとした。フランス語がなんとか話せる私は、当然、「前に座らなくては」と思って助手席のドアのノブに手をかけて驚いた。
ガラス越しに犬がこちらを見ているではないか。
運転手:「前は私のかわいいペットの席だよ。このタクシーは後ろに3名しかのれませんよ」
私:「4名が同じ所に行きたいんだけれど」
運転手:「じゃあ、もう1台止めて、2名ずつで行くんだね」
私以外はフランス語がチンプンカンプンの人達だから、みんな私と一緒に乗りたいという。
そこを説得して2台に分かれて、なんとか無事に目的地に着いた。
道中の車内でタクシーの運転手に聞いてみた。
私:「日本ではペットを車に乗せるなんてことは、お客さんでも断られるのに。ほら、運転手さん、こんなにペットの毛がついているよ!」
運転手:「パリでは助手席には、危ないからお客を乗せることは禁止さ。それに、後部座席に悪者が乗った場合に、運転手の頭を保護するために、このような透明のアクリル製防御柵をつけているんだ。おまけに、このワンちゃんも悪者に対しては、ほえるんだ!」
それ以降は、ほとんどのタクシーで色々な犬を見た。
お客さんに愛想の良い犬や大きくてブスッとした犬など、様々であった。
最近では日本でもタクシーの運転手が現金を取られるなどの被害にあうし、アクリル板で体を保護するようになった。
安全神話がくずれ始めた日本のタクシーにも、ご主人お助けペットが助手席に座る時代がくるのだろうか?

フランスに駐在して2〜3年経ったころである。
日本の本社から指示があった。「健康管理面で、従業員は1年 に一度は健康診断をしなくてはいけないが、フランスではどうなっているのか調べて、報告すること」。
調べた結果、指定された診療所でやる必要があるとのことで、早速アポをとって行った。身長、体重、視力検査など日本と
同じ項目を終えて、問診の時である。日常会話では使わないようなフランス語がポンポンと出てくるのでよくわからない。理解しているフリをしていたところ「体温計」を渡され、カーテンで仕切られた部屋を指さすのである。
なぜ、仕切りの中でやるんだろうと不思議に思いつつも、「体温計は口にくわえて」と医者が言ったように感じ取った。・・・・・そうして2〜3分したところで、「さあ、どうですか」と言ってカーテンを開けられた。
すると医者が「アッ、違います!」と私が口にくわえていた体温計を取り上げて「尻にさせ」と言うのである。
それはなんとか無事に終わったが、あとになって、恥ずかしいやら、汚らしいやら、くやしいやらで、医者で使うフランス語を勉強しなくてはいけないと真剣に思った。
さあ、日本での政治用語は皆さん理解できていますか?
一緒に勉強をして、政治に参加しましょうね。

フランスのカンヌ市に住んでいた頃の話である。家族旅行に車で出かけると運転役で疲れるので、のんびりと電車で旅行をしようと思いついた。
仲良しの日本人のSさん家族(子供二人とご夫婦)と我が家(四人)で、カンヌ駅から出発してバルセロナ、バレンシアへと長時間の列車旅を計画し、寝台車を予約した。一つの寝室は左右に三段ベッドが配置されており、二家族の八名で一つの寝室を借りた。
何時頃だっただろうか、私の家内が突然
「お父さん、私の頭に触った?」
と聞いてきた(私は眠たくて返事をしなかった)。
そのうちに、Sさんのご主人が、
「手先であちこちを触られる」
と言って騒ぎ始め、室内の電気をつけようとしたが、つかないのである。小さい子供たちは寝ているし、大人の私たちがふざけている訳でもない。寝る時には財布などの小物は枕元に置くが、これを何者かが物色している様子なのである。もちろんドアには簡単な方法だが内側からロックしているのだが、これを外からはずすことができるようだ。
そこで大人四人で相談の結果、内側からドアが開かないようにヒモで縛りつけた。また来るかもしれないと、息をひそめてウトウトしているうちに明るくなり朝がやって来た。
やがて、バレンシア駅で停車して外に出たところ、警察がジプシー風の女の子の腕をつかまえていた。どうも、他の寝台でも同じことがあったらしい。
みなさん、人ごみの中に入る時にはスリなどに今一度、ご用心を!

だいたいジプシーが民族名なのか、部族名か、移動する人々なのか、出身はどこなのか、まったくわからない。よそものとして、ジプシーという言葉が使われている。
パリに永く暮らしていると、色々な情報が入ってきたものだ。「ルーブル博物館の近くに、ジプシーの子供たちがいて、3〜4人で新聞紙を広げて、何かを尋ねるようにして近寄ってくると、日本人観光客は何だろうと覗き込む。その瞬間にサイフやバッグを盗まれてしまう」こんなことを聞いていた。
パリで仕事をし始めて5年ほど経った頃、ルーブル辺りを歩いていた時である。なにやら大きな声で3人の女の子が新聞紙を持って近づいて来るが、フランス語ではない。
ハッと思い出し、フランス語で
「近づくな!」
と言っても、いっこうに聞こうとせず、ドンドンとやってくる。とうとう新聞紙を大きく広げて、私の顔にかぶせようとし始めた。
当時、たばこを吸っていた私は、風でも消えにくいジッポーのライターを使っていた。これで、いきなり新聞紙に火をつけたら、子供たちは驚いて、逃げて行った。
その後、日本に帰国して12年ほど経って、久しぶりにパリを訪れる機会があった。地下鉄で移動しようと思い、念のため盗られても良いように、おとりの財布(100ドルのみ)を後ろポケットに入れて車両に乗り込んだ瞬間に、5〜6人の子供たちにしがみつかれて、その財布を持って行かれたのである。
作戦通りに事は進んだが、気分は良くない。以前はうまくやれた事も、少しやらないと勘が鈍っていくものですね。
・・・・・・・・・・・・ 寂しい。
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